分娩室に移す目安
初産(@?)
経産(A?)
分娩介助手順(直接介助)
分娩室入室時
介助者の準備
分娩介助用のユニフォームに更衣する。
場所の準備
1 環境調整 適切な温度と湿度B
2 設備機器の準備・点検
・分娩台の昇降,傾斜などの操作の確認
・分娩第1期・2期の看護に必要な物品の準備
・器械台周辺に以下の必要物品を準備し使用できる状態であるかを確認する
○滅菌済みの分娩セット○べースン・ガウン
○お産セット(パット類)
○キックバケツ(ゴミ袋を敷き込む)
○導尿用メジャーカップ(不潔)
○ストップウオッチ○メジャー(子宮底計測用)
○吸引器の吸引圧を適切に設定し作動を確認 吸引圧C mmHg
○加湿びんに規定量の蒸留水を入れる
・酸素投与用のマスクを準備し、酸素投与ができることを確認する
・胎児監視装置を見やすい位置に配置し、ベルト、ゼリー、記録用紙を確認する
・産婦が分娩後に着る衣服・腹帯を準備する。さらし腹帯は4重に折っておく(時間的な余裕がなければ分娩後でもよい)
・ネームバンド2本は入院時に産婦の氏名を記入し、2本とも産婦の手首に装着しておくが、そのうち1本を新生児用として消毒する。
→滅菌した万能壷に70%エタノールを注ぎ、ネームバンドを浸す
( D理由は? )
産婦の準備
1 入室前の排尿(可能であれば)
2 分娩台への移送と分娩監視装置の装着
分娩介助者の準備
器械の準備
1 分娩セットの準備
・以下の物品(数字は定数)が入っている分娩セットを清潔操作で器械台の上に開く
分娩介助に使用するもの(バットに入っている)
○吸引管(1)○22p・33p膿盆(各1)○300ml・500mlメジャーカップ各1○臍帯せん刀(1)○16pコッヘル止血鉗子(3)○滅菌ガーゼ(15)
○滅菌綿花(20)○18p有鉤せっし(1)
2 分娩セットに不足がないか確認し、以下の滅菌物を清潔操作で追加する
○臍クリップ(1)○8Fr吸引カテーテル○12Frネラトンカテーテル(1)
○大綿球(3)○小綿球(2)○消毒したネームバンド(1)○滅菌ガウン(1)○滅菌手袋(1)○分娩シーツ一式
・大・小綿球を300mlメジャーカップに入れ、イソジン液を注いでイソジン綿球を作る
3 下の順番になるように滅菌物を器械台の上に置く
(一番上) 滅菌ガーゼ2枚(手ふき用)
滅菌ガウン
滅菌手袋
分娩シーツ一式(ラミノンセット)
分娩セット
(物品の配置図)
べースンのセット
1 べースンの準備
・前もって手洗い場のセンサーに手をかざし、1分間以上流水(E理由は?)させておく
・滅菌布に包まれた滅菌済みのべースンを布の内側を不潔にしないように台の上で開く
・べースンの清潔を保ちながら5分目まで滅菌水を汲みスタンドに置く
2 消毒液の作成
・塩化ベンザルコニウム液をべースン内の滅菌水に加えて0.02%濃度の消毒液(F消毒液の作成法は?)分娩中の手指や器械の消毒に用いる
介助者の準備
1 手指の消毒
・前もって手洗い場のセンサーに手をかざし、1分間以上流水した後に手洗いを始める
・滅菌流水で両手両前腕を濡らす
・イソジン液2〜3ml(ポンプ1押し分)を手にとり、手指の先端、側面、背面、爪の間だ、手指の間などを洗い、続けて前腕全体から肘関節上5pくらいまでをよく洗う
・約3分間洗ったあと、滅菌水でよく洗い流す
・前腕を肘関節より上に挙げ、洗浄後の水が手指に向かって流れないような態勢を保持したまま滅菌ガーゼで両手首までを拭く。その後、1枚のガーゼを手首に回し(もう一枚は掌中に握って)、その両端を持って肘関節に向かってふきあげる。片方の腕の濡れている部分を全て拭き終えたら、ガーゼの一端を離し、腕の外側からキックバケツ内に落とす
・残った方の腕についても同様に、2枚目の滅菌ガーゼを水分をふきとる
2 ガウンテクニック
・器械台上に準備した滅菌ガウンを手洗いした後の手で取って着用し、ひもは間接介助者に渡し、結んでもらう
3 滅菌手袋の着用
分娩野の作成
1 外陰部消毒(G目的?)
・産婦に処置の内容を説明し、協力を求める
・産婦の両そ径部に滅菌綿花を置き、消毒液の腹壁への流出を予防する。介助者は自分のきき手の示指・中指・薬指の三指を揃えて継ぎ目を手掌側にして綿花でつつみ継ぎ目を親指で押さえ、指先が直接陰部に触れないように持って消毒を始める
・間接介助者に消毒液を流させ、温度を確かめてから外陰部にかけさせる
・綿花で軽く摩擦しながら、順序よく(H順序は?)消毒を行う。汚れのひどい場合は途中で綿花を取り替える。肛門は最後に消毒し、肛門に触れた綿花が他の部分に触れないように、そのまま下に置いたキックバケツへ捨てる
図
・陰唇を開いて間接介助者に消毒液をかけさせ、よく洗い流す
・乾燥した綿花で水分をふき取る。拭くときの順序は、内側から外側へ、前から後ろへを原則とする
・産婦に濡れた感じのところがないか、気分不良はないかを確認し、消毒を終わる。べースン内の消毒液で手指を洗う。
2 分娩シーツの敷き込み
・清潔な分娩シーツが不潔にならないよう、広いところでシーツを開き、縦長に見て産婦側、介助者側を確認する。
・産婦側の縁を両手でしっかり持つ。敷き込める準備ができたらシーツを持ったまま産婦の両足間に立つ。産婦に腰を浮かせてもらうよう協力を得て、指の先端でシーツの清潔面を上にし、腰の下の方へ十分に押し込む(できるだけ陣痛間歇時に行うこと)
3 滅菌シーツ類の配置
・ベビー受け用の滅菌シーツをたたんだまま間接介助者に渡す
・腹部用滅菌シーツを輪を向こうにして2つ折りにし、産婦の腹部に置く。
・足袋の口から約10pのところを外側に折り返す。ひもが不潔部分に触れないように片方ずつまとめて掌にもち、折り返し部分に両手の指先を入れて足袋の口を開く。産婦の足先から袋の中に足を入れる。大腿まで入ったら折り返しを戻し、ひもを間接介助者に渡す。両方の下腿を足袋で覆い終えたら、再度べースン内の消毒液で手指を消毒する
4分娩野の点検
実際に会陰保護をする位置に立ってみて、分娩台の高さ、産婦の上半身の傾斜が適切なものであるかどうかを確認し、自分の介助しやすさ、産婦の安楽を考慮してフットスイッチで分娩台の調整をする
器械の準備
1 器械類の準備・配置が済んだら直接介助者は産婦の右側に立つ
介助者立ち位置 (右きき)
・産婦の尾骨下に22p膿盆を置く
・未破水の場合、陰阜に8つ折りガーゼを輪を手前にしてのせる
・新生児の顔拭きガーゼを産婦の左大腿の足袋の上に置く
・1分以上流した滅菌水を500mlメジャーカップに半分程度入れ、器械台の上に置く
・8Fr吸引カテーテルを吸引管に接続し、吸引器に接続する側を産婦の大腿の下に通して間接介助者に渡す。
・吸引器と接続されたら確実に吸引できるかどうかを実際に滅菌水を吸引して確認する。分娩シーツの一部をつまみ、手に取りやすい位置にカテーテルを固定する。4つ折りガーゼを開き、綿花の中にくるんで会陰保護綿を作る。自分の手掌に納まるくらいの大きさにし、会陰保護をする手が汚染されないよう、また分娩進行が手にとれるように厚さ1pくらいがよい。
・綿花で湿綿を作る(5枚)
・器械台の上で、臍帯せん刀、コッヘル2本、臍帯クリップ、滅菌水を入れたカップ、ガーゼ、綿花をとりやすいように配置する
分娩介助(側面介助)
破水時の介助
1.自然破水の場合
・自然に破水が起こりそうな場合は,陣痛発作時に陰阜に置いたガーゼの上を左手で軽く当て,周囲への羊水の飛散を防ぐ。破水後は羊水を尾骨下においた膿盆で受ける
2.人工破水の場合
・自然破水が起こらず人工破膜が必要な場合は,陣痛発作時に左手の中指・中指を膣口に挿入し,その2指に沿わせながら右手でコッヘル鉗子を挿入する。児頭や膣壁を損傷しないように注意しながら,コッヘル鉗子の先端の鉤で破膜する。この時,陰阜においたガーゼで膣口を覆い,羊水の飛散を防ぐ
3.破水の時間を確認し,児心音を間接介助者に聴取させ,変化の有無を確かめる
4.膿盆に受けた羊水の量,性状を観察し,間接介助者が持っているメジャーカップ(不潔)に流しいれる。膿盆は再びおなじところに置く。羊水の飛散を防ぐために使用した陰阜においたガーゼはキックバケツに捨てる
分娩第2期
器械類の準備(使用しやすい位置に並び替えるなど)を行いつつ,会陰保護開始まえは陣痛発作時に産婦に対して以下のケアを繰り返し行う
・陣痛発作時には努責をかけさせ,有効な努責となるよう産婦を誘導する
・陣痛発作時は脱肛及び便による分娩野の汚染を防ぐよう,右手の指先で乾綿をあてて肛門部を押さえる。乾綿は汚れたら適宜交換する。
・分泌物による膣口周辺の汚れは湿綿で拭き取り手洗いをする
会陰保護の開始
次のような状態になったら会陰保護を開始する
初産婦( I )
経産婦( J )
K会陰保護の機能は?
会陰切開術
児頭娩出以前に,医師が会陰切開術を行うことがあるので,介補する
排臨から児頭娩出まで
●右手
排臨時は乾綿を肛門に当て、その上から4指をそろえて置き,陣痛発作時にはL肛門保護(L理由?)を行う
会陰保護は,会陰1〜2p位見える位置に保護綿を当て,その上から肛門部に小指丘があたるように右手の位置を決める
会陰を超えて児頭を把握しているつもりで拇指と示指を十分に開き,陰門に沿って両側よりあてる。陣痛発作時には小指丘側に力をいれて恥骨の方向に圧迫し,児を骨盤誘導線の延長線上の方向へと進ませる
●左手
親指以外の4指を揃えて指先を会陰側に向けて児頭にあて,後頭部を会陰の方向に軽く圧する
そのままの位置で,後頭結節が恥骨弓下を滑脱するまで屈位を保たせるように第3回旋による前頭部の娩出を抑制する
後頭結節がはずれたら,産婦に努責を止めさせて,短息呼吸をさせながら,児頭を手掌全体でしっかり把握し,ゆっくり陰門を通過させる
最小周囲径での娩出のために,左右の頭頂結節の同時通過を避け,左右交互に半円を描くようにしてゆっくりと第3回旋をさせる
児頭が娩出したらすぐに,右手はおなじ位置に置いたまま,左手で産婦の大腿部に置いた顔拭きガーゼをとり,児の鼻腔をしごくようにして羊水を拭き取り,M顔面を清拭する(M理由)
児頭娩出から第4回旋
●右手
会陰保護の手はそのままとし,第4回旋に伴う会陰の抵抗を確認するとともに,肩胛の急激な娩出を防ぐ
●左手
恥骨弓下に示指を入れ,頸部の臍帯巻絡の有無を調べる。臍帯巻絡のない場合は,右手の会陰保護は続け,異常がなければ第4回旋は自然にまかせる
肩胛娩出介助
児の顔が母体の大腿内側に向かったことを確認したら,前在肩胛,後在肩胛の順に肩胛娩出介助に移る
1.前在肩胛
●右手
前在肩胛を出すときは右手の方向へ力が加わるので,会陰保護の手の位置はそのままで,力を緩め抵抗を弱くする
●左手
拇指と示指の指裂間を十分に開いてそれぞれの指を児の顎部と項部にあてる。児頭を母体の後下方(肛門の方向)に押し下げ,恥骨弓下から前在肩胛を滑脱させる
2.後在肩胛
●右手
児頭の第3回旋の援助と同様,小指丘に力を入れ,会陰保護をする
●左手
前在肩胛が娩出し児の上腕が恥骨下に現れたら,児の後頭部を通って左手を後在側頭部に移動させ児頭を支え,児を抱えあげるような姿勢をとる
体幹娩出介助
・両側とも上腕3分の1くらいまで出たら,左手でしっかり児を恥骨の方向へ押さえて固定したまま,右手の会陰保護ガーゼを後方にずらし,肛門を拭うようにしてはずし,キックバケツに捨てる
・児の両側腋窩に手前より右手,左手の4指を挿入し,児の胸部をしっかりと把握した後,骨盤誘導線に沿ってゆっくりと,陰門から母体の腹部に向かって弧を描くように娩出させる
・臍帯を牽引しない位置に児をN左側臥位に寝かせる
・産婦に児の出生及び性別を告げお祝いの言葉を述べる
娩出直後の新生児の観察・処置
1.気道確保と呼吸の確立
・滅菌水の入ったメジャーカップを分娩野の安定した位置に置く
・新生児の顔面を拭いたガーゼで清拭し,吸引カテーテルを児の鼻腔,口腔内の順に気道内を吸引する。適宜滅菌水を用いてカテーテル内を清掃しながら行う
2.全身の清拭・観察
・乾いたガーゼで手早く全身の清拭をすると同時に性別,外表奇形の有無,排尿・便の有無を確認する
3.臍帯の結紮
・臍輪部から母体側に臍帯血を軽くしごき,臍輪から2〜3pの部分をコッヘル止血鉗子で圧挫した後,一旦はずして10pの部分をしっかり止める。もう1本のコッヘル止血鉗子で産婦の会陰付近の臍帯をはさんでとめる
・臍輪から2〜3pの圧挫した部分に臍帯クリップを装着する
4.アプガースコアの評価
・出生後1分・5分の時点でのアプガースコアを採点し,間接介助者に告げる
5.第一標識の装着
・消毒しておいたネームバンドを児の左足首にはずれないようにつける
6.臍帯切断
・手指が汚れている場合は湿綿で消毒する
・臍帯クリップとコッヘル鉗子の間を切断する。切断の際,臍帯の下にガーゼを置き,左手の親指・示指・中指・薬指でガーゼごと臍帯を固定する。左手掌で臍帯せん刀の刃先が保護されるように持ち,臍帯を挫滅するように切断する
・切断面をイソジン綿球で消毒し,血管数を確認する
7.母子の対面と間接介助者への引き渡し
・児を落とさないようにしっかりと持ち,母親の股間から腹部上部に児をもちあげて,産婦に児の顔が見えるようにする
・直接介助者の手に触れないようにすれば児の手足に触ってもよいことを告げる
・対面時間は短時間として,間接介助者に児を手渡す。間接介助者の広げた滅菌シートの上で間接介助者がしっかり児を把握したことを確認して手を離す
・処置や計測が済んだ後にゆっくり対面できることを説明する
「赤ちゃんの体重や身体の大きさの計測をしてきれいにからだをふいた後にお連れしますね」
胎盤娩出介助
1.後羊水の観察
・尾骨下の膿盆内の後羊水の量及び性状を観察してから間接介助者が持つメジャーカップに流し入れ,膿盆は器械台の上など脇によけておく。胎盤を受ける33p膿盆を尾骨下に置く。
2.胎盤剥離徴候の確認
・胎盤剥離徴候が2つ以上確認されたら,胎盤を受けられるようにガーゼを広げた左手掌を会陰付近に広げ,右手の拇指・示指・中指で臍帯及び臍帯を結紮しているコッヘル止血鉗子でしっかりと把持する
3.胎盤娩出
・産婦に胎盤が娩出されることを告げ,軽く努責をかけてもらう。産婦の努責にあわせてゆっくりと骨盤誘導線の方向に胎盤を引き出す。胎盤の3分の2程度排出されたら産婦に努責をかけるのをやめてもらい,用意した左手のガーゼで胎盤を包む。母体面あるいは半母体面で娩出した時には後血腫を卵膜で包みこむようにして胎児面に直して娩出させる
・胎盤を両手で持ち,卵膜を遺残させないようにゆっくり同一方向に回転させながら引き出す。
・卵膜が細い策状になって娩出するときには,コッヘル止血鉗子で卵膜と直角に幅広く挟み,ゆっくりと引き出す。卵膜が娩出されるに従って,鉗子で膣口付近をはさみなおし,卵膜遺残のないようにする
・卵膜が最後まで娩出されたら胎盤全体を膿盆に入れ,娩出時間を確認する
4.胎盤の一次検査
・そのまま膿盆の中で胎盤の一次検査(胎盤の実質および卵膜に明らかな欠損がないかどうかを簡単に調べること)をする。
・一次検査を終えて特に異常がない場合は,間接介助者に膿盆ごと手渡し,22p膿盆を再び尾骨下に置く
膣壁の損傷検査
1.膣壁損傷の検査
・べースンの液で手指を手洗いし,産婦に傷の有無・程度を調べることを告げる
・湿綿で外陰部をふき,左手で陰唇をひらく。ガーゼで出血を押さえるように拭き取りながら,小陰唇・膣前庭・膣(比較的浅い部分のみしか観察できない)・会陰の分娩による外傷の有無を確認する
・損傷があり,縫合を必要とする場合は医師に依頼し,その介補を行う
産婦の観察と処置
医師の縫合終了後,以下の観察と処置を行う
1.会陰縫合部の観察
・会陰縫合部にO異常がないかどうか確認する
・外陰部周辺の出血による汚れを消毒液に浸したガーゼで拭き取る
2.尿の貯留の観察
・膀胱に尿が貯留していることが確認された場合は導尿を行う
3.脱肛の有無の観察
・脱肛があれば指で還納する
安楽のケア
外陰部の処置が終わったら,分娩野を片付け,褥婦の身支度を整える
1.分娩野の片づけ
・分娩介助,縫合に用いた機械類はべースンに入れ,分娩介助に用いた器材等を分娩シーツの上から除く
・縫合時の出血はあとで計測するのでこぼれないように膿盆を片づける
・フットスイッチを踏んで分娩台の段を出し,産婦が下肢をまっすぐに伸ばせるスペースを作り,産婦の下肢を台の上に置き足を伸ばしてもらう
滅菌ガウンや手袋をはずす
2.下半身の清拭と分娩直後パットの装着
・分娩シーツを血液や羊水を包みこむようにして外し,滅菌された分娩直後パットを当てる
・足袋を外し,熱い蒸しタオルで外陰部以外の下半身の清拭をする
清拭後防水シーツを当てる
・子宮底にアイスノンを貼用(子宮収縮不良の場合)している場合は,アイスノンごと復帯をまく
3.上半身の清拭と更衣および乳房の観察
・臥位のまま熱い蒸しタオルで上半身の清拭を行い,寝衣に更衣させる
・乳房の状態,初乳の分泌,乳管開口状態を観察する。乳かす等があれば,清浄綿で清拭しておく
・産婦に気分不良がないか確認し,かけものをかける
・・・・・↑ここまでが分娩介助技術チェックの範囲です・・・・・
初回授乳
諸計測・処置を終えた新生児をバスタオルなどでくるんで保温し,褥婦と対面させる。夫,家族も分娩室に入れ,一緒に対面させる
1.母児の対面
・褥婦の点滴の針が挿入されていない側の分娩台の上に新生児を置くスペースを作り,褥婦の腕の中に新生児を抱かせる
・介助者は児をはさんで褥婦の向かい側に立つ
・褥婦にあらためてお祝いとねぎらいの言葉をかけ,安定した抱き方を指導する
2.新生児の確認
・褥婦に新生児を抱かせたまま,児の足につけたネームバンドと褥婦の腕に付けたネームバンドの番号がおなじであることを確認させる
・児のおむつをずらして性別を確認させる
3.吸啜の介助
・児を抱いている側の乳房を露出させ,清浄綿で乳頭を清拭し,児の項部を支えて乳頭を吸啜させる。褥婦の状態が安定していれば側臥位や半坐位になってもよい。
・左右の乳頭を吸啜させる。
・夫や家族との面会や初回授乳が終了した後,新生児室に児をあずかる
4.休息できる環境整備
・産婦の身支度,初回吸啜を終えたら,次のことを説明し,産婦の側を離れ後かたづけ等を行うため分娩室を出る
その一,分娩後の監視の必要性と帰室までの処置の内容や帰室予定時間
その二,助産師への連絡が必要な症状と連絡方法について
・ナースコールを産婦の手の届くところに置き,確認させる
1時間後の観察
1.1時間チェック
・バイタルサインのチェック,子宮底の高さ・硬度,出血量・性状,会陰部の状態,疼痛の有無,産婦の訴え
2時間後の観察
1.2時間チェック
・バイタルサインのチェック,子宮底の高さ・硬度,出血量・性状,会陰部の状態,疼痛の有無,産婦の訴え
・必要があればアイスノンの交換
2.内服薬の説明
・正常褥婦には,子宮収縮剤,抗生剤,痛み止めが処方される。これらについてのそれぞれの薬剤を実際に手にとって作用,飲み方,注意事項を説明し手渡す
3.点滴抜去
・子宮収縮が良好であること,出血量が正常範囲内であることを確認して,点滴を抜去する。ボトル,ルート,針の順に所定の位置に片づける
4.自然排尿および消毒
・トイレまで歩行し,自然排尿をこころみるよう促す
帰室
1.帰室(P帰室できる褥婦の条件は?)
・基本的には自立歩行で帰室してよいが,褥婦の歩行への不安があったり,疲労が激しい場合は車椅子もしくはストレッチャーで帰室する。車椅子の場合は会陰部の縫合など創傷がある場合には円座を用いて傷口の安静をはかる
・ベッド周りに褥婦の必要物品を揃え休息環境を整える
2.説明
・一般病室に帰室したら,初回歩行までの安静時間,その間の助産師への連絡が必要な症状と連絡方法を説明する。手元にナースコールを用意しておく
・夫や家族にも褥婦と同様の説明をし,面会の制限,飲み物の用意など褥婦がゆっくり休める環境づくりの協力をしてもらう
出血量の測定
1.出血量の測定
・分娩第3期の出血を膿盆からメジャーカップに移し,計測し助産録に記録する。ガーゼ,シーツ類に付着した血液も計測する。
胎盤検査
1.2次検査
・胎盤計測の手順に従って胎盤の計測をし,記録する
・全ての計測を終えたら,胎盤実質,卵膜,臍帯を全てビニール袋に入れ,所定の容器に入れる
後片づけ
1.使用物品の後片づけ
・胎盤計測が終了したら,そのままシンクで使用した物品の後片づけをする。感染防止のため,洗浄用のゴム手袋を着用する
・分娩シーツなどの血液が付着したものディスポ製品はメスキュート缶に入れる
・分娩セット内の器械類:分解できるものは分解し、血液汚れを洗い流し、消毒し,分娩セットとして一式組んでおく
2.清掃
・キックバケツに捨てたゴミをまとめ,所定の容器に廃棄する。キックバケツには新しいゴミ袋を敷く
・分娩台周囲の血液や羊水の汚れはハイゼガーゼなどでふきとっておく
・酸素マスクを使用した場合は,滅菌水,ルートおよびマスクを取り替えておく
・シンクなどについた血液汚れも綺麗に洗い流しておく
3.物品の補充
・分娩器械台の上に以下の物品を準備し,次の分娩に備える。滅菌物の有効期限に注意する
お産セット
滅菌ガウン
分娩セット・べースン
ディスポ製品・・・
記録・評価
1.記録(以下の記録物には学生は直接記録することはない)
助産録
分娩台帳
母子健康手帳
出生届け
2.評価
指導助産師とともに,その産婦の助産過程を振り返り、助産診断の内容,分娩介助手技について評価する
想起
その産婦にとって分娩を肯定的な体験として受け入れることができるように,また自分自身の分娩介助の評価のために想起を行う